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調査研究論文の要旨

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中小企業における無形資産の活用

  • 日本における生産性低迷の背景には、過去においては、企業が生産性上昇を目指して積極的な設備投資をしないことがあると指摘されてきた。しかし近年では、こうした有形資産への投資以上に、無形資産への投資が重要であるとの認識が国際的に高まってきている。
  • その代表例が企業の研究開発であり、企業の研究開発行動は、目には見えないが将来付加価値を生み出す無形資産への投資であると考えることができる。そうした投資は研究開発だけではなく、コンピュータソフトウェアや、特許権、商標権などの権利(知的財産権)のほか、人材、組織、企業ブランド、ノウハウ(知識、情報)なども該当すると指摘されている。
  • 本論文では主に中小企業の研究開発や知的財産活動の状況について分析した。全般的に研究開発分野においては、中小企業は大企業に比べやや遅れ気味である。また研究関係従事者の状況をみると、中小企業は大企業よりも研究関係従事者や研究者の数自体が少ない上に、他の業務との掛け持ちが大企業よりも多い状況にあるように思われる。研究者一人当たりの研究費も中小企業は企業平均の4割程度と少ない。
  • しかしながら、例えば研究開発を行っている企業の売上高に占める研究開発費の割合では、中小企業と大企業との格差が小さいことなど、中小企業の活動を評価できる点もある。なお性格別には、中小企業、大企業ともに開発研究費の割合が高く、基礎研究の割合が低い。
  • 知的財産活動の面でも、総じて中小企業は大企業と比べて遅れ気味である。ただ、特許権をはじめとする知的財産権の利用状況をみると、利用割合においては大企業と並んでいる。
  • 日本の課題は、中小企業も含めて研究開発や知財活動が企業の成長等に結びついていないところにあると思われる。中小企業には研究開発の成果としての知的財産をどのように活用するかといった知財戦略も含めて、無形資産投資を事業化し付加価値の創出につなげていくための地道な努力が求められる。
  • 人材などの経営資源が乏しい中小企業が、研究開発などの無形資産投資を付加価値の創出につなげていくためには、人材不足を補えるような外部資源の活用や、戦略的な他社・他業種・外部研究機関との連携等が有効なのではないだろうか。また政策の活用も効果的であろう。

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