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調査研究論文の要旨

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共同店舗組合・共同工場組合の新たな挑戦

  • 本稿では「組織化」という視点から、共同店舗組合および共同工場組合にスポットをあてて組合の現況、課題、活動状況、地方公共団体の取組状況等について調査・分析を行い、今日的な共同化、集団化の意味について考察を試みた。
  • 共同店舗は、高度化事業制度のひとつとして「小売商業店舗共同化事業」が創設されたことを契機に全国に設立されるようになった。店舗類型は「単独型」が多く、この場合は「市街地型」立地が過半数を占めている。一方大型店を含むタイプの場合は「郊外型」立地が約7割を占めている。なお、店舗形態は「SC型」が多数を占めている。
  • 共同工場は、高度化事業制度や公害防止事業団(当時)の助成制度の後押しを受けて設立されるようになった。工場形態はビル型の重層式、平屋建ての連棟式などである。
  • 共同店舗、共同工場の現況についてみると、両組合ともに総じて出資規模は大きく、組合員数は少ない。その増減についてみると共同店舗の組合員数の減少が目立つ。主要財源(第一位)についてみると、共同店舗は「賦課金・会費」、共同工場は「共同事業収入(金融事業、賃貸料を除く)」のウエイトが最も高い。また、現在実施している共同事業についてみると、共同店舗は「共同宣伝・販売促進・イベント主催」81.5%、「組合員、従業員の福利厚生」63.1%、「クレジット、商品券発行」60.0%、「組合施設(駐車場、会議室等)の賃貸」52.3%の順となっている。一方共同工場は、「共同生産・加工」、「共同仕入・購入」がともに 60.0%を占めており最上位となっている。
  • 共同事業を実施していく上での主な問題点をみると、両組合ともに「事業設備・施設の陳腐化、老朽化」が最も多くの回答を集め、組合員に起因する課題・問題点については、「組合員の業況不振」が最も多く、「組合員数の減少」を上回った。
  • 共同店舗の高度化資金の利用実績率は 66.7%で、そのうち完済組合は 16.7%に止まっており、団地組合や共同工場に比べて両比率ともに低い。特に完済組合比率は極端に低く、共同店舗の資金繰りの厳しさが窺える。
  • 一体性の維持策についてみると、共同店舗、共同工場ともに「既存の共同事業の充実強化」が6割を上回る最も多くの回答を集めた。また、団地組合と異なり「事務局体制の充実」が第3位と上位に位置している。
  • 共同店舗、共同工場を構成する小規模小売業、小規模製造業の事業所数、従業者数はともに大幅な減少が続いており、経営環境が厳しいことを示している。なお、共同店舗については小売商業政策の変更等に伴い業界内での競争が激化している。こうしたなか両組合ともに様々な課題を抱えている。その解決を図っていくためには「協同組合」としての原点に立ち返り、組合員がお互いに相互扶助の精神に基づき、コミュニケーションを活発化し自主的に組合運営に参加することが基本になってくる。
  • 共同店舗、共同工場が改めて現在共同化、集団化していることの意味、組合のあり方について組合員全員で十分に議論を重ねることで、新たな組織化に向けた取り組みがはじまり、こうした動きが組合の活性化につながっていくことを期待したい。

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