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調査研究論文の要旨

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人手不足の実態と中小企業の対応

  • 2013年は中小企業の雇用過不足感が「過剰」から「不足」に転じた年であり、各種雇用指標からもこの時期が転換点であったことが示唆される。2015年以降は欠員率がマインド指標以上に悪化しており、人手不足は「不足企業数の拡大」から「1企業当りの不足人員数の拡大」へと深刻化する段階に入ったと考えられる。
  • 中小企業の労働投入量(延べ労働時間)は人員数の増加が小幅にとどまる一方、1人当り労働時間が減少したことにより、2013年以降ほとんど増加していない。中小企業では正規雇用が減少し、非正規雇用が増加しているが、1人当り労働時間に関しては正規雇用が横這いとなる一方、非正規雇用は減少しており、正規雇用者の負担を増大させている。
  • 人手不足への対応を労働投入量の面からみると、中小企業は新卒・中途採用および女性労働者の採用を増やすことができなかった。外国人雇用では雇用する事業所の数は増えているが、各事業所が外国人労働者数を増加させる段階にはない。一方、非正規雇用者の正規雇用者への転換や定年到来後の雇用者の再雇用により、1人当り労働時間を延長する動きは拡大している。
  • 労働生産性向上による対応では、能力開発面で自己啓発への支援を強化する動きがみられるが、計画的なOJTやOFF-JTの強化には進展がみられたとはいえない。一方、業務プロセスの改善は進んでいる。また、人手不足を契機に合理化・省力化投資の動きが加速している。
  • 2013年は中小企業にとって人手不足対策面で転機であった可能性が高いが、それ以前から対策を進めていた大企業に比べると効果は限定的で、結果として対策は不十分であったといわざるをえない。
  • 今後も中小企業が人手不足に対して人員数増で対応することは極めて難しく、労働生産性向上が最も現実的な対応策となろう。計画的なOJTやOFF-JTの強化を通じた能力開発への一層の注力、プロセスイノベーションの業務「見える化」への展開、合理化・省力化投資の推進が有効であろう。

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