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調査研究論文の要旨

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中小企業組合制度を活用した新事業展開

  • 本稿では、まず中小企業の組織化による新事業展開への期待が高まってきている背景について説明し、新たに誕生した連携組織制度と中小企業組合制度を概括的に比較するとともに、主要な中小企業組合制度とその改正内容等を確認する。次に創業に最も適した組合制度である企業組合による創業の実態を明らかにし、最後に事例調査に基づき中小企業組合による新事業展開について考察を試みる。
  • 経済・社会環境が大きく変化していくなか、中小企業組合制度は、「規模の利益の実現」にとどまらず、本来中小企業が有する機動性、柔軟性、創造性などを生かして「経営資源の相互補完」を図るための組織として位置付けられることとなった。
  • 特に、異業種や異業態の連携による新事業展開やイノベーション創出を期待する声が高まるなか、新たな連携組織制度が次々と誕生した。また既存の組合制度についても組合事業に新分野への進出支援事業が追加されるなどの改正が行われた。
  • 企業組合は、創業に適した組織であるとともに、多様な個人による多様な働き方ができるという点からみて「働き方改革」の担い手としてもその活用が期待されている。
  • 企業組合の6割弱は個人の非事業者が主体となり設立したもので、過半数は「地域や社会に役立つ仕事がしたかった」を創業の動機に挙げている。また、業種については「サービス業」が40%と最も多く、規模については小規模先が多数を占めている。
  • 企業組合における強みや特色についての回答内容をみると、「団結力」、「人材力」、「機動性」、「働き方の柔軟性」、「地域密着性」、「連携力」、「専門性」、「誠実」、「こだわり」など多種多様である。また、設立の効果や事業活動の成果についてみると「総合的に見た効果や成果」があったとみている。選択項目別にみると、「組合員の働く場の確保」、「組合員の生きがい・働きがいの実現」、「地域や社会への貢献」、「対外的な信用力の増大」の順に評価が高い。
  • 事例に挙げた中小企業組合の新規事業の目的は多様であるが、いずれも相互扶助精神に基づき組合員が自主的に事業に参画し、お互いに力を合わせることで組合員単体では得られないメリットを享受しようとしている。そして組合の取り組みは、多様な働き方の推進、地域コミュニティの再生・活性化、地域の雇用確保、地域資源の活用などに寄与するとみられる。特に企業組合によるユニークな事業は注目に値する。
  • 中小企業にとって「組織化」は今日においても有力な経営戦略の一つであり、中小企業組合制度を活用した新事業は、わが国経済を活性化する有意義な取り組みといえる。組合制度を活用した個性的な新事業展開に期待したい。

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