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調査研究論文の要旨

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少子高齢化・人口減少と起業の担い手

  • わが国は既に少子高齢化・人口減少の時代に入っているといわれる。また、グローバル化や IT 化など経済・社会構造は大きく変化しつつある。少子高齢化・人口減少は、企業経営の観点からみれば、一方では経営者の高齢化の進展と引退・廃業の増加を、他方では起業の担い手、特に若年層による起業の減少をもたらす。
  • わが国では開業率は廃業率を大きく下回り、事業所数が減少する状況に至っている。こうした状況下では、将来に向けて経済の活性化を図るべく、起業活動の活発化が喫緊の課題である。本論では、経済センサス・事業所統計、就業構造基本調査等によりこうしたわが国の起業活動の現状を分析し、起業の担い手に関する課題等を明らかにしようとするものである。
  • 一般に起業の担い手の中心的存在は 30-40 代であるといわれているが、わが国では既にその母集団となる層が減少に向かいつつあり、起業の環境としては好ましくない状況にある。こうした中、起業者は既に実数でも人口構成比でも減ってきており、その背景には少子高齢化・人口減少が進展していることに伴い、起業者も高齢化が進み、引退する時期を迎えた人が増加していることがある。
  • また、起業を希望する者についても、まだわが国全体の人口減少が始まっていなかった時期から絶対数、比率ともに低下してきており、これが開業率の低下、産業の新陳代謝や経済成長の停滞等につながっている可能性が示唆される。わが国の起業希望者は、国際的にみても低すぎる水準にある。
  • 起業が少ない要因は、起業の担い手側の人材の問題と、事業機会や起業を支援する人材、あるいは金融など起業を取り巻く様々な環境の問題の 2 つに分けられる。これらの課題を解決しわが国における起業活動を活発化させる一つの手法として、クラスターの活用が挙げられる。クラスターは、起業者が求めている外部の経営資源を活用することが可能となる仕組みを有しており、新たな事業機会を生み出す環境でもある。また、少子高齢化・人口減少の進む中では、地方における中核都市への集中という視点も欠かせない。
  • 起業活動の活発化は、産業、企業の新陳代謝の促進やイノベーションの創出により、経済全体の生産性向上に資するとともに、経済を活性化し、成長を促進、さらには雇用を生み出す役割も担っている。グローバル化や IT 化の進展など、大きな変化の時代を迎えている今日、新たな技術やビジネスモデルによりイノベーションを創出していく役割を担う起業家の育成、起業活動の促進は、わが国経済の活性化、成長のために必須であると思われる。

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