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調査研究論文の要旨

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地域中小企業の経営革新

  • サービス産業はわが国のGDPの約7割を占める重要な産業であり、その大部分は地域の中小企業によって担われている。サービス産業の生産性については海外と比べて低いという指摘があるが、換算レートの問題に加えてサービスの質の違いもあり、単純に比較することは難しい面がある。
  • サービス産業の生産性は企業間のばらつきが大きく、ITの活用、組織革新、人材育成等による生産性の引き上げ、高生産性企業のシェア拡大と新陳代謝の促進等によって、サービス産業全体として生産性を高めていく余地は大きい。
  • 少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少、人手不足が現実のものとなりつつある中、サービス産業の労働生産性の向上は日本の経済が成長・発展していくための極めて重要な課題となっている。
  • 本調査では中小サービス業を中心とした地域中小・中堅企業を対象に事例調査を実施し、生産性向上を中心とする経営革新への取り組みと人材不足への対応の実態を探り、地域中小企業の存続、発展のために求められる経営のあり方について検討を行った。
  • 事例企業ではサービスの現場データの収集、分析を行って現場を「見える化」し、生産性の向上に取り組んでいる。データの収集、分析にはITの活用も有効である。
  • 顧客満足度を高めることも重要であり、サービス内容の見直し、サービスの標準化によって、効率化と顧客満足度の維持・向上を同時に追求することが必要である。また、従来とは異なる新しいサービスを提案し、提供することによって顧客満足を高めることも可能である。
  • サービス産業の生産性向上への取り組みにおいては稼働率を高めていくことが重要である。事例企業は来客数を増やし、稼働率を高めることで生産性向上を実現している。
  • KPI(重要業績評価指標)を設定することも効果的である。サービスの質や顧客満足度は数値化して計測することが難しい。明確で現場が理解しやすく、測定が可能、達成可能性のある指標をKPIとして採用することで生産性の向上に結び付けている事例企業も多い。
  • 人材の確保には給与水準の引き上げだけでなく、労働条件の改善、長時間労働の排除、福利厚生の充実、固定給の支給等による生活の安定を図っていくことが必要である。一方、こうした給与水準の引き上げ、労働時間の短縮、福利厚生の充実の取り組みは人件費の増大の要因であり、それを吸収する生産性の向上が欠かせない。人材育成を図って、能力を高めていくことが求められる。
  • 従業員に経営理念の浸透を図ったり、経営情報の共有、経営への参画により、従業員のモチベーションを高めている企業もある。また、給与面だけでなく、仕事のやりがい、成長欲求を充足といった働き手の要望に応えることも重要である。

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